コロナ禍のせいなのか、釣りばっかりしているせいなのか、なんなのかよくわかりませんが、近頃は、家庭内で父としての威厳も居場所もなくなりつつあります…
まずは仲間作りから。
下の子を味方につけようと企てます。
「そういえば、車中泊してみたいって言ってたよね」
「うん」
「週末行ってみる?」
「うん♪」
下の子は、わたしが40年前にウグイ釣りに興じていたころと同じ年頃ですが、当時のはなたれ小僧と比べると、随分上品な子に育っております。
味方に加えた勢いで、あわよくば、魚釣りもできればと目論見ます。
「車中泊は、海でいい?」
「うん」
「ひさびさにキス釣りでもしようか?」
「…」
どうやらエサの石ゴカイが嫌な模様です。
まあいいでしょう。
とりあえずは、仲間ができたし、こっそり早起きしてショアジギでもすればいいやとの考えのもと、週末の好天を期待しつつ、準備にとりかかるのでした。
初めての車中泊における(お気楽な)目標は
新たに仲間に加わった下の子は、そもそもなんで「車中泊」に興味をもっていたのかよくわかりません。
おそらくですが、(父と同じく)ユーチューブばかり見ているので、誰かのキャンプ動画の影響でも受けたのではないかと睨んでいます。
とにかく今回は、少なくとも、
「ご飯を炊くこと」
「車の中で一夜を過ごすこと」
の2つさえ達成できればよいことを、わが子と確認し合いました。
たった2つだけやれば良いので、初めてとはいえ、たいそう気楽な「車中泊」となりました。
ご飯を炊くための準備
まず一つめの目標である「ご飯を炊く」ために、アマゾンで「メスティン」を購入しました。
コンパクトカヤック購入のきっかけでもありました、カートップボーターノラさんの動画でも、いつもおいしそうにご飯が炊けております。
ようやく自分も「ごちそうさまでした♪」が言えるときが来たかと思うと、楽しみで仕方がありません。
2合炊き用で、ポケットストーブとのセットのものを購入しました。
また
・固形燃料(100均)
・無洗米(2キロ)
・水(2リットル)
も買い揃え、あとはいよいよ作るだけとなりました。
なお、メスティンもいろんなメーカーから出ているようですが、購入したものは「バリ取り済み」であり、「シーズニング不要」とのことでしたので、まさにあとは作って食べるだけ状態であり、とっても便利で気楽でした。
なお、「バリ」とは、フチ部分にあるギザギザやトゲのことであり、そのままではケガをする危険性があるので、ヤスリなどで取り除く作業が必要となります。
また、「シーズニング」の綴りはseasoningとのことであり、季節のほかに「慣らす」という意味があるとのこと。
実際に調理に使う前に、「慣らす」ひと手間をかけることによって、焦げ付きや匂い移りを防ぐことができるらしいのです。
具体的な慣らし作業としては、米の研ぎ汁で15分ほど煮込むことにより、表面が被膜コーティングされ、焦げ付きなどを防ぐ(和らげる)効果が得られます。
わたくしもせっかくなので、大きな鍋にメスティンを入れ、米の研ぎ汁を注ぎ込んで、中火でじっくりコトコト15分ほど煮詰めるシーズニング作業をやってみました。
車の中で一夜を過ごすための準備
まずは、寝るためのスペースを確保しなければなりません。
愛車初代エクストレイルの荷室は、普段は、釣り道具でいっぱいです。
ところが、幸いなことに、先般「初カヤック」を挙行したところであり、カヤックをおろした状態のおかげでスペースができあがっておりました。
後部座席を倒すと、広大なフルフラット空間が生まれ、ここに寝袋を並べて寝ることにします。
(以前いただいた寝袋がちょうど大小2つありました)
下の固さを少しでも和らげるために、わずかでもクッション代わりとなればと、ダンボールを敷きます。
また、明かりも確保しないといけないので、アマゾンでランタンも買いました。
(充電式で、軽くて、いいお買い物でした♪)
いざ出発
「炊いて寝るだけ」なので、夕方17時にいつも釣りに行くサーフへと向かいます。
天気はくもりでしたが、風が強く、波も高かったので残念ながら釣りはできません。
なので、早速ではありますが、目的の1つである「ご飯を炊く」準備にかかります。
まずは、30分水につける必要ありとのことから、メスティンを取り出し、2合の無洗米を入れ、水を400cc注ぎます。
ここで、お上品なわが子には、近くにキレイな「おトイレット」がなければならないことが判明し、場所を変更することにいたします。
イオンが近くにある海岸へと移動しました。
うまく炊けたのか
新たにやってきた海岸で、いよいよメスティンに火を入れます。
風が強かったので、愛車の荷室(就寝場所)にて、ハッチを開けながら固形燃料を燃やします。
これは、やってはいけない危険なことなのかもしれませんが、20分もの間、片時も目を離すことなく監視し続けました。
ちょうど20分で火が消えました。
10分蒸らせとのことなので、蒸らしの間に、クーラーボックスのテーブルを据えて、おかずを並べた食卓が完成です。
30分浸して、20分火にかけ、10分蒸らした熱々のメスティンをオープンして、ご飯をよそいます。
割り箸でよそおうとしたところ、期待したような「ほくほく感」はまるでなく、お米の芯が残っていることに気づきました。
わが子には、なかでも炊けてそうな部分を取り寄せてあげて、父は芯のあるお米を食べるのでしたが、さすがに2合近くを食べる気にはなりませんでした…
原因はなんなのでしょうか?
一応2合用のメスティンではありますが、よくばって2合にせずともよかったのかもしれません。
風の影響を受け、火力が十分に伝わらなかったのかもしれません。
水を入れすぎたのかも知れません。
原因はなんにせよ、失敗体験から学べることは非常に多く、父子ともに、「次」へと生かしていく所存であります。
ご飯はお世辞にも成功とは言えませんでしたが、ノンアルコールビールでキャンプ感も味わい、わが子に「まぁまぁおいしい」と慰められながら、20時にはそそくさと就寝の準備に入ります。
ぐっすり寝れたのか
晩ごはんの片付けを終え、荷物を前の座席に退避させ、寝袋を並べます。
イオンでおトイレを済ませ、いよいよ寝ます。
星空でも見上げながらと思っても、天井には釣り竿がごちゃついているだけだし、窓の外をみても曇り空がどんよりしています。
ただ、海の沖の方では、幻想的な明かりが連なっているのが見えました。
イカ釣り漁船のあかりだと思われます。
21時前には、狭い荷室で父は眠りこけ始め、こどもは「眠れない」といって、勉強をカリカリ始め、一段落したらスイッチのマリオカートで走り始めていました。
なにせ、下が固いし、狭いしで、とても熟睡はできませんでした…
一晩中、風は強くビュービュー吹いており、わが子は一睡もといっていいほど、眠れなかったようです。
一夜明けて
夜明け前の4時過ぎに雨が降り付ける音で起床。
昨晩、イオンで買った朝ごはん用の「メロンパン」と「はちみつパン」を食べ、水筒のお湯で溶かしたぬるいコーヒーを飲みます。
こわばった体に、この糖分とカフェインは、最高の味わいでした。
「ごちそうさまでした♪」
ザーッと降った雨もやみ、一夜を過ごした狭い車の外に出てみると、澄んだおいしい空気とここちよい波の音に包まれます。
釣りをしたい気持ちをここはグッと抑え、前の座席に積み置いた荷物を取り除けて、いざわが家にむかって出発!
わが家に着くや否や、わが子はそのまま、やわらか~いお布団に入り、熟睡した模様。
どんな夢をみているのでしょうか。
一方、父はといいますと、昨晩の芯入りご飯とからあげの残りを平らげるや否や、そういえば、研ぎ汁欲しさに炊いたご飯で、飢え死に防止のために作って持参していた「おにぎり2個」を携えて、性懲りもなく、ふたたび海へと釣りをしに向かったのでありました。
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