【幸田露伴「幻談」】秋の夜長にどうせなら「釣り文学」を読んでみた

海で読書 つれんづれ草

秋なので、釣り文学を読んでみました。
釣りが上手になるために、なりふり構わず、試みていることの一環です)

簡単に内容をご紹介します。


江戸のある下級武士のお話ですが、こちらの武士は偉ぶることもなく、非常に良いお人柄で、他人と面倒を起こすことのない「釣り」を好んでおりました。

こちらのお方が馴染みの船頭とともに、船でチヌ(クロダイ)釣りに向かいます。

ただ、この日は全く釣れずにボウズで帰ることとなります。

翌日もまた、船頭と釣りに出ますが、同じく全く釣れません。
船頭は責任を感じてしまい、とっておきのポイントへと向かいます。

そこでようやく、魚かゴミか不明ながらも「大物」がかかりますが、やりとりの最中でミチリと竿が折れ、糸も切れてしまいました。

武士も船頭も、性根のよくできた2人であったので、愚痴ることもなく明るくとりなして帰ることとしました。

帰る途中で、水面になにやら「竿」らしきものが、見えたり消えたりして流れています。
近づいて見てみると、非常に作りのよい高級竿のようでした。

が、その竿のグリップ付近には、溺死体の白い左手が固く握られたままであります。
武士はためらい悩んだ挙げ句、竿を握りしめている指を折って、高級竿を手に入れることにしました。


翌日もまたまた、船頭と、昨日手に入れた作りの良い竿とともに釣りにでかけると、昨日までとは打って変わって釣果がどしどしあがります。

本日はたいそうご機嫌で帰る途中、昨日高級竿を入手した同じ場所にさしかかると、なまぬる~い空気に包まれて、またもや「竿」らしきものが流れているのが見えます…

竿が手元にあるのを横目に確認しつつ、さすがに武士も船頭も背筋に冷たいものを感じて、南無阿弥陀仏を唱えながら、そっと爆釣竿を海に返しました。(おわり)

 

自分がこの武士だったとしたら、とてもじゃありませんが、指を折ってまで、高級竿を手に入れるなんてことは決していたしません。(たぶん)

また、仮に手に入れてしまったとしても、一旦手に入れた「爆釣」竿を、やすやすとは手放さないような気もいたします。(強欲)

なんだか、読後においても、水面を漂うようなふわふわした気持ちにさせられますが、これを読んだ数日後、カヤックで500メートルほど沖に出ていたときに、さらに沖の方から「白い手」がゆらりと近づいてくるのを見てしまいました。

そのときは、「ぞわり」と身にサブイボが立ちましたが、だんだん近づいてくるのをそっと(目を背けながら)見つめていると、「ただの白いゴム手袋」でした。

もちろん、高級竿も溺死体もない、たんなる白ゴム手袋です。

カヤック釣りをはじめて約3ヶ月経ちました。

いろんな経験を少しずつ積み重ねていますが、今のところ、この白いゴム手袋がカヤック釣りにおける恐怖体験ベスト・ワンであります。

※因みにこの日は、爆釣でもボウズでもなく、愛用バスロッドで、アジ27cmとキス17cmが1匹ずつ釣れました♪



↓ 1年の時を経て、初めてチヌ(クロダイ)が釣れました♪

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